慶應義塾大学医学部化学(2024年度/一般)-入試情報
出題形式
論述(100%)
試験時間
理科2科120分(化学:60分)
難度(5段階)
2.8(標準)
分量(必要時間)
53分(標準)
合格に要する正答率予想
77%
大問数
3問
出題内容
第1問:核酸、アンモニア、COD
第2問:構造異性体、元素分析、ジカルボン酸
第3問:気体、気体生成反応、接触法
求められているもの
幅広い知識、高難易度の頻出問題の演習経験は必須。その上で全分野の知識を総合して思考できる人を大学は求めていると考えられる。
強い特徴や偏りがないバランスがとれた入試である。特別な対策は必要とせず標準的な高校化学の学習でよい。
今月は医学部専門予備校D組化学科講師の國兼 欣士郎先生に慶應義塾大学化学の入試対策をお聞きしました。
化学史への関心
國兼 欣士郎先生よろしくお願いいたします。早速ですが近年の慶應義塾大学の化学には特別な傾向はありますか。
化学史の専門家あるいは化学史への関心が高い方が出題陣におられると思われます。ファントホッフの浸透圧の測定、ヘスの熱量測定などを、原典の実験装置を用いて出題することが続いています。また、原子量の基準変更に関する問題も複数回出題されています。もちろん受験生が原典にあたることはできないので、問題文を読み取ることで対応できる問題ですが。
問題文や実験データの読み取り能力
國兼 欣士郎先生としては、その傾向にはどういった大学の意図が現れていると想像されますか。
まず第一には、化学を好きになって欲しい、受験で点を取るためだけでなく、化学という学問への関心を持って貰いたいという願いが表れています。もちろん、そういう問題を出せば関心を持って貰えるとも限りませんが、そういう願いが詰まった問題だな、と自分は思っています。また、単に解法を覚えるだけでなく、問題文を読み取る能力や、実験データを読み取る能力を持った受験生を優先して取りたいということもあるでしょう。
化学を好きになろう
現在、まだ合格水準に足りていない受験生が慶應義塾大学医学部の合格水準に達するための努力としてはどういったものが考えられますか。
問題の難易度自体は、偏差値ほどは高くないです。と言っても偏差値が高いので、高得点が必要になりますが。慶應で7割くらいを取るのであれば、他大学と比べても大変ではないので、基礎学力をつけることがまず第一です。その上で、化学史や環境問題、最近の化学ニュースに日頃から関心をもつこと、読書するなら化学史関連の本にするとか、化学自体を好きになることが遠いようで近道です。また、実験問題、実験操作の知識やデータの読み取り問題に多くあたる経験を増やすことで、慶應の問題に強くなるでしょう。
化学好きな受験生
これまで慶應義塾大学医学部に合格してきた受験生にはどういった特徴がありましたか。
これは、化学だけで決まるわけでは無いからでしょうが、成績上位の子達です。ただ、単に成績が良いだけではなく、授業後に質問によく来る、疑問を持ってそれを解消したいというタイプの子、また、座る席が前の方の子が多いという印象はあります。
落ち着いて,問題文をよく読む
慶應義塾大学医学部の入試当日に気を付けてほしい点はありますか。
見慣れない問題文や実験装置の問題が出るので焦りがちです。でもそれは他の受験生も同様なので、落ち着いて、まず取れる大問をきちんと片付ける。その時点で他科目次第で合格点です。それから、初見の問題でも、問題文をよく読めば、必ず解答に繋がる文や語句があるので、それを探しましょう。
貴方が主人公
いよいよ冬期、直前期を迎えラストスパートに入る受験生に熱いメッセージをお願いします。
当たり前ですが、毎朝早く起きることです。学校や予備校の授業がなくなって時間の管理が難しくなりますが、とにかく朝早く起きて、御飯などの時間以外は勉強して、早めに寝る。そして、ここが出たらマズイな、と思う分野があれば、貴方が主人公のストーリーなので、必ずそこが出ます。苦手な分野でも、問1、2くらいまでなら対応できるようにすることは、今からでも間に合います。そうすれば、きっと主人公が勝ちます。
単に博打関連というわけではない名著
最後に國兼 欣士郎先生の心の名作を教えてください。
沢山ありますが、一つずつ。小説なら、阿佐田哲也「新麻雀放浪記」、漫画なら、つの丸「たいようのマキバオー」です。
國兼先生らしい名作ですね。國兼先生は人と人とのつながりや人情、情熱を大切にしている先生です。また、國兼先生は医学部化学の大学別の出題傾向に詳しく、よく分析されています。まさに医学部化学の生き字引です。医学部に限らず化学という学問に精通しており、その講義は深遠かつ明瞭であると優秀な受験生の間でも評判の講師です。決して猫と酒が好きなただのオッサンではありません。國兼 欣士郎先生、この度はありがとうございました。引き続きD組の医学部受験生たちにも熱意あるご指導をよろしくお願いいたします。
医学部専門予備校D組では現在の成績に関係なく10人程度の少人数クラスで國兼 欣士郎先生の化学の対面講義を受けることができます。少人数制だからこそ可能なきめ細やかな指導と、質疑応答の時間を豊富に設けることで生徒一人ひとりの理解度を深め、着実に実力アップを目指します。さらに、アットホームな雰囲気の中で周りの生徒と切磋琢磨しながら学ぶことができるのもD組の魅力です。