慶應義塾大学医学部生物の傾向と対策!(D組講師 大町 尚史先生)

2025.02.01
慶應義塾大学医学部生物の傾向と対策!(D組講師 大町 尚史先生)

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慶應義塾大学医学部生物(2024年度/一般)-入試情報

出題形式

論述(100%)

試験時間

理科2科:120分(生物:60分)

難度(5段階)

4.2(難しい)

分量(必要時間)

75分(やや多い)

合格に要する正答率予想

57%

大問数

3問

出題内容

第1問:酵素の実験、ミカエリス定数
第2問:微小管空間と核サイズの制御
第3問:発光イカとVf菌の共進化

求められているもの

思考力・解析力・記述力・処理能力など全ての面で一流であることが必要。大学は地頭の良い学生を求めている。

今月は医学部専門予備校D組生物科講師の大町 尚史先生に慶應義塾大学生物の入試対策をお聞きしました。

受験生が楽しむことができる問題

大町 尚史先生よろしくお願いいたします。早速ですが近年の慶應義塾大学の生物には特別な傾向はありますか。

興味深いテーマを掘り下げ、よく練られた問題を出題しますね。作問者自身がその題材を本当に面白いと感じていることが、問題を解いていて伝わってきます。問題文を読み、設問を解いていくことで、少しずつ出題者の意図が明らかになり、全体像が見えてきます。その過程を受験生に楽しんでもらいたいと願っているようです。
例えば、2022年の大問2は、まさに毒で埋め尽くされた問題でした。ヘビ毒素遺伝子の加速進化(2020年 Nature Geneticsの論文に基づく)、マングースがもつ毒素に対する耐性、ヘビ毒の遺伝情報を利用した抗毒素抗体の産生プロセス、カモノハシの毒素やイモ貝の毒素(毒を疼痛治療薬としても利用可能)などです。高度な設問が多いものの、非常におもしろい内容で引き込まれます。問題文の理解にさほど関係もないのに、わざわざ舌を出すインドコブラの模式図を挿入しており、「閲覧注意!」といった感じです。
医学部らしい問題も頻出です。例えば、2022年の大問1では、ノーベル賞を受賞したHubelとWieselによる眼優位性可塑性(脳がどちらの目からの情報を強く受け取るかを、柔軟に変化させる能力)に関する実験が取り上げられました。この研究はネコを用いて行われましたが、ヒトでも眼優位性可塑性がみられます。幼児期に眼帯で片目だけを長期間遮蔽すると、その目が弱視となり、開いている眼からの情報に大脳の視覚野ニューロンが優位に反応するようになります。こういう題材は、慶應大医学部が大好きなテーマと言えますね。
他に、生物学の驚くような学説も出題されます。2022年の大問1では、細胞の核の進化的起源に関する新しい説が扱われました。ミトコンドリアや葉緑体の起源が好気性細菌やシアノバクテリアであることは教科書に記載されています。しかし、核が古細菌の細胞内共生で生じたという仮説は、恐らく当時の受験生の誰も知らなかったでしょう。これは、前年の2021年にBaluškaとLyonsが発表したばかりの説で、学者たちに広く受け入れられていた訳ではありません。それでも、興味深い仮説をすぐに出題してしまうのが、慶應大医学部らしいところです。

地頭のよい受験生が選抜される

大町 尚史先生としては、その傾向にはどういった大学の意図が現れていると想像されますか。

論文のような長い文章を短時間で読んで、理解し、思考した内容を自分の言葉で表現できる人、そして、新たな疑問点を見いだし、自ら実験をデザインできる人が求められています。作問者の誘導に上手に乗り、話についていき、柔軟に推理・洞察を働かせる能力も重視されています。また、問題の分量が大変多いことから、処理能力の高い受験生を選抜したい、という意図が見えます。要するに、「地頭の良い人」を求めていると強く感じます。
実際、合格者の内訳を見ると、2024年の場合、現役生がおよそ76%、現役生と一浪を合わせて96%以上でした。また、2023年では、現役生が約82%、一浪と合わせて99%近くを占めました。この傾向は、私立大医学部の傾向と全く異なります。
要するに、何年もコツコツと努力して合格を勝ち取る大学ではないということです。生来のスバ抜けて高い能力に、プラスαの努力を加えて、比較的あっさりと合格するイメージだと思います。

授業を楽しみ、驚異的な速さで成長する姿

これまで慶應義塾大学医学部に合格してきた受験生にはどういった特徴がありましたか。

合格した生徒たちに共通するのは、授業を心から楽しんでいる姿です。高度な内容や長い問題文を苦にしません。問題の本質を見抜く力に優れており、新しい知識や理解、考え方を学ぶと、目をキラキラと輝かせます。教えていて、彼らの学習面での成長速度にしばしば驚かされました。
大学で学ぶ専門書を抱えて、授業に臨む生徒も決して珍しくありません(高校の問題集や参考書では易しすぎるため)。それらを英語で読んでいる生徒たちもいます。
一番驚いた生徒は、慶應大医学部と東京大学・京都大学の過去問題を50数年分収集して、全部解いた(と自称している)人です。その一部をコピーして私にプレゼントしてくれました。今と全く出題内容や形式が異なり、非常に興味深かったです(仕事の役にはほとんど立ちませんでしたが…)。

自分と向き合い、作問者と対話することが大切

現在、まだ合格水準に足りていない受験生が慶應義塾大学医学部の合格水準に達するための努力としてはどういったものが考えられますか。

勉強風景

自分と正直に向き合い、努力すべき点を洗い出して欲しいと思います。
例えば、能力の高い人たちの中には、問題文をある程度読むと、次はこういう展開になるはずだと決めつけてしまい、文章を正確に読めない人がいます。そのため、つまらないミスを頻発します。もし、あなたがこのような「自滅型」ならば、文章を正確に読む訓練をしてください。思い込みを捨て、作問者との対話を楽しんで欲しいと思います。

全体を概観し、難問から取り組む

慶應義塾大学医学部の入試当日に気を付けてほしい点はありますか。

毎年、大問が3つ出題されます。まずは全体を概観し、最も高度で、最も手ごわそうな大問を見つけてください。最初にそこに取り組み、格闘します。しばらく取り組んでも暗礁に乗り上げるなら、一旦、別の大問に移りますが、頭の片隅で難問を考え続けます。何度も、難しい問題と易しい問題を行き来し、試験時間いっぱいを使って考えましょう。
くれぐれも、「易しい問題からまずクリアしていく」などと考えないように! そのようにすると、難問を考える時間が最後の数十分になってしまい、高得点が難しくなると思います。

自らの能力を信じて未来を切り拓こう

いよいよ冬期、直前期を迎えラストスパートに入る受験生に熱いメッセージをお願いします。

大町先生

慶應義塾大学医学部を受験するあなたは恵まれた能力を持っているはずです。そうしたギフトを最大限生かし、未来を切り拓いていってください。

職員、講師、生徒、どのような人にも分け隔てなくいつも親切で優しい対応をしてくださる先生です。いつも笑顔でおおらかで心が清い方であるため、私のようなけがれたものが近づいてよいものか、心配になるほどです。先生の抜群の生物学の深い見識は聴くものを圧倒します。先生の発するまばゆい光の圧力によって圧死してしまうことがないように、受講者はまず体力づくりを心掛けてください。先生の精緻かつわかりやすい講義は聴くたびに「今日もグーンと頭がよくなった気がする」と評判です。受講生は「気がする」だけで満足することなく、その理解が持続されるように復習をしっかりしてください。でないとやがて圧死します。そして大町先生は質問対応においても、とても丁寧で親切であるため、そのやさしさによっても圧死する可能性があります。受講生は十分に気をつけてください。大町 尚史先生ありがとうございました。引き続きD組の医学部受験生たちにも熱意あるご指導をよろしくお願いいたします。

医学部専門予備校D組では現在の成績に関係なく10人程度の少人数クラスで大町 尚史先生の生物の対面講義を受けることができます。少人数制だからこそ可能なきめ細やかな指導と、質疑応答の時間を豊富に設けることで生徒一人ひとりの理解度を深め、着実に実力アップを目指します。さらに、アットホームな雰囲気の中で周りの生徒と切磋琢磨しながら学ぶことができるのもD組の魅力です。

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