今日は先週に引き続き、「医師と患者の関係」について校舎長七沢の講義でした。
疾病構造の変化、社会構造の変化に伴い、医師と患者の関係性も変わってきています。生活習慣病の蔓延、癌患者の増加は、医師と患者の関係性を長期化させ、さらに患者の生活や人生観、死生観にまで医師は介入せざるを得ないのが現代の医療の課題となっています。
さらに情報社会はますます加速し、一般人が得られる情報は医学・医療の専門的な分野にまで及んでいます。医師は以前のようなパターナリズムから、「共に考える医療」へと態度を変えていかなければならないのが現状です。つまり、医師には患者一人一人の生活背景や価値観まで汲み取った対応が求めれられているのです。もちろん、医師は哲学者や宗教者ではありませんし、そもそも短時間の診療で患者の人生観や価値観まで介入することはできませんし、患者の抱える様々な問題に対応しきれるわけはないのです。
巷でよく耳にする「全人的医療」や「患者中心の医療」を具現することは困難を極めます。それでも、医師は、健康の専門家としてできる限り正しい診断をし、適切な治療法を提示することにコミットしつつ、そしてできる限り患者の立場に立って、共に考える姿勢を持たなければなりません。でなければ高収入や社会的地位、世間からの信頼、尊敬は得られないのです。
これから医師を目指す人たちには大変な課題だとは思いますが、社会が求めている医療人としての態度や姿勢を少しでも身につけてほしいと思います。
(D組校舎長 七沢)
七沢校舎長によるチュートリアル(医師と患者の関係)
2024.05.24