関西医科大学医学部生物(2024年度/一般)-入試情報
出題形式
論述(67%)、答えのみ記述(25%)、選択肢(8%)
試験時間
60分(理科2科目120分)※
難度(5段階)
2.8(標準)※
分量(必要時間)
45分(やや少ない)※
合格に要する正答率予想
61% ※
大問数
4問
出題内容
小問集合、マツヨイグサの性質と特徴、カイコガの成長過程とホルモン、すい臓の性質と形成
求められているもの
単科医大であるため「遺伝情報」「生殖・発生」「代謝」からの出題が多くみられる。ただし,[1]は選択式の小問集合で,ここで全範囲から網羅的に出題されているので幅広い知識が必要とされている。一部細かな知識を問われることがあるが全体的には教科書に記載されている内容を問われているのは,高校生物をしっかりと履修して医学部に入学してもらいたいという大学からのメッセージであろう。
※試験時間、難度、分量、合格正答率は編集部推定。
今月は関西医科大学生物の入試対策について、医学部専門予備校D組生物科講師の森田先生にお聞きしました。
「生殖・発生」分野は超頻出!しかし,小問集合は全分野から出題される!
森田先生よろしくお願いいたします。早速ですが近年の関西医科大学の生物には特別な傾向はありますか。
近年の関西医科大学の出題テーマは以下の通りです。
年度 | 大問 | 出題テーマ | 分野 |
---|---|---|---|
2025 | Ⅰ | 小問集合 | 総合 |
Ⅱ | ニホンナシの自家不和合成 | 生殖・発生 | |
Ⅲ | 形成体と誘導 | 生殖・発生 | |
Ⅳ | 体細胞分裂とDNAの複製 | 生殖・発生 | |
2024 | Ⅰ | 小問集合 | 総合 |
Ⅱ | 光周性と光発芽種子 | 植物の反応,生態 | |
Ⅲ | 昆虫の変態とホルモン | 体内環境,生殖・発生 | |
Ⅳ | すい芽の形成 | 生殖・発生,体内環境 | |
2023 | Ⅰ | 小問集合 | 総合 |
Ⅱ | 心臓の拍動 | 体内環境 | |
Ⅲ | ラクトースオペロン | 遺伝情報 | |
Ⅳ | ABO式血液型,集団遺伝 | 生殖・発生,進化・系統 |
2025年度の問題を踏まえて関西医科大学の生物の傾向を分析すると

- ・「生殖・発生」分野からの出題が頻出であるが,Ⅰの小問集合で全分野から出題されている。
- ・論述問題が数問課される(今年度は30字,32字,50字の3問)。
- ・描図が課される(今年度はカエルの原腸胚中期(縦断面))。
- ・計算問題が課される。
という特徴がみられます。また,近年は分野横断の出題が特徴ともいえます。
大学が望んでいるのは高校生物の正しい学習で,医系生物ではない!
森田先生としては,その傾向にはどういった大学の意図が現れていると想像されますか。
「生殖・発生」分野は基礎医学に直結しているため、医師を目指す学生にはこの分野に関心を持ち、積極的に学習することが推奨されます。しかし、大学が求めているのはあくまで高校生物の範囲であり、医系生物ではありません。高校生物の範囲を逸脱した内容を学習する必要はなく、教科書の内容を正確に理解することが求められます。
高校生物をしっかりと学ぶように促す背景には、大問Ⅰの小問集合の出題意図があります。大問Ⅰは全範囲から均等に出題されるため、頻出分野に重点を置いた学習も重要ですが、各分野の基本的な知識を身につけておくことが不可欠です。
医学部を受験するからと言って特別な勉強をする必要はない!
現在,まだ合格水準に足りていない受験生が関西医科大学医学部の合格水準に達するための努力としてはどういったものが考えられますか。

医学部進学を志す受験生には、「私立医学部は偏差値が高いので旧帝大および早慶レベルの問題で鍛錬するべきだ」という誤解がしばしば見られます。この考え方は一概に否定できませんが、果たしてその学習が本当に必要なのでしょうか。
例えば、関西医科大学では100字以上の論述問題は出題されません。しかし、「医学部入試の生物」とひとくくりにされると、論述問題の練習までも行われることがあります。まずは志望校の出題傾向を把握することが重要です。
とはいえ、最も重要なのは「教科書の徹底理解」です。合格水準に達していない受験生は、まず教科書傍用問題集(リードα、セミナー、ニューグローバル、センサーなど)を完璧にこなせるようにするべきです。これらの問題集の内容を軽視する受験生が多いですが、地味に見えるこの学習が最も重要であることは過去問の傾向からも明らかです。
受験にオリジナリティーはいらない!
これまで関西医科大学医学部に合格してきた受験生にはどういった特徴がありましたか。
関西医大に限らず一流大学に合格する学生は、「素直に学習する」という共通点があります。受験にはオリジナリティーは不要で、合格した先輩の真似をしてください。しかし、前提条件が違うこともあるので、私たち受験のプロから正確なアドバイスを受けて勉強するのが最善といえます。
さらに、学生には「興味に勝る努力なし」と常々伝えています。どれだけ努力しても、興味を持って勉強している学生には勝てません。全分野でなくても、好きな分野を見つけてください。「その分野が得意になる→生物の得点が上がる→他の分野にも興味を持つ」という,生物得意になる渦に巻き込まれます!
医師という仕事は素晴らしい,だからこそ全身全霊で目指してもらいたい!
これから1年受験期に入る受験生に熱いメッセージをお願いします。
医学部を選ばなければ,誰でも大学生になれる時代です。1年間勉強をしたからといって必ず医学部に合格できるわけでもありません。それでもこの道を選んだのは,医者という職業に魅力を感じているからではありませんか?それならば中途半端に勉強せず全力で勉強するのは,あなたの夢に対する最低限の礼儀だと私は思います。
とはいえ,受験生活は順風満帆ではありません。必ず気が滅入るときが来るでしょう。そのときは私たちを頼ってください。あなたは一人ではありません,やる気に満ち溢れたあなたには必ず最後まで伴走しますね。
心を奮い立たせてくれる名作

最後に森田先生の心の名作を教えてください。
レオ・レオニのペツェッティーノですね。
いつ読んでも心を奮い立たせてくれる名作なので、皆さんもよければ読んでみてくださいね。
なるほど、森田先生ありがとうございました。引き続きD組の医学部受験生たちにも熱意あるご指導をよろしくお願いいたします。
医学部専門予備校D組では現在の成績に関係なく10人程度の少人数クラスで森田先生の生物の対面講義を受けることができます。少人数制だからこそ可能なきめ細やかな指導と、質疑応答の時間を豊富に設けることで生徒一人ひとりの理解度を深め、着実に実力アップを目指します。さらに、アットホームな雰囲気の中で周りの生徒と切磋琢磨しながら学ぶことができるのもD組の魅力です。